さて、妊娠生活も安定期をそろそろ迎えるかな、って頃になると、1つ非常に重要な選択をする機会がありました。
想定していなかった検査の存在を知る
僕の妻は、妊娠は34歳でしたが、予定通りいけば出産は35歳になる予定でした(実際そうなりました)。
さて、いつものように妊婦検診へ行った時のことです。妻が通っていたレディースクリニックで、ある時医師からこのような話をされました。
「35歳以上で出産する人にすすめている『クアトロテスト』というものがあります」
僕も妻も初めて聞く『クアトロテスト』という名前。説明を聞くと、考え込んでしまう内容でした。
クアトロテスト(母体血清マーカー検査)とは
話を聞くと、このクアトロテストは、お腹の中の赤ちゃんが『ダウン症(知的発達、運動能力の発達の遅れ)』『18トリソミー(知的発達の重度の障害)』『開放性神経管奇形(脳や脊髄の障害)』に罹患している確率を、妊婦の血液検査により算出する検査だと分かりました。そして、罹患している確率の基準(=カットオフ値)があって、その値を境に陽性と陰性が分かれることも。それぞれのカットオフ値は以下の通りです。
ダウン症候群・・・1/295
開放性二分脊椎・・・1/290
開放性二分脊椎に無脳症などを含めた開放性神経管奇形全体・・・1/145
18トリソミー・・・1/100
上記の値を境に、確率が低い側は陰性、高い側は陽性となります。そして、検査結果は単に陰性/陽性の判定だけではなく、しっかり「1/〇〇」として確率も出てきます。つまり、赤ちゃんが生まれる前に、障害を持っている確率を具体的な数字として知ることが出来るわけです。
ちなみに年齢が上がるほど確率的なリスクは高くなります。参考までに、検査の基準のカットオフ値(陽性陰性の判断に使う値)とは別に、僕の妻の分娩年齢である『35歳の年齢固有の確率(=ダウン症候群、18トリソミーの赤ちゃんを妊娠している確率)』は、
ダウン症候群・・・1/297
18トリソミー・・・1/1153
となってます。(※僕の妻の結果ではなく、検査の判定基準のカットオフ値でもなく、あくまで35歳の妊婦が障害のある赤ちゃんを妊娠している確率です。)

僕たちはこの『35歳』の欄を参照したわけです。
事前に赤ちゃんに障害がある確率を知ることを望むか
僕も妻もこんな検査があることを知らなかったですし、この検査を受けるかどうか夫婦でよく考えて決めて下さい。と言われた後は、結構悩みました。
さらに、このクアトロテストはあくまで確率の算出であって、それ以上詳しい情報を得るための検査は、ダウン症候群と18トリソミーについては、羊水検査が確定診断だと説明されました。 しかも、この羊水検査は羊膜に小さな穴をあけての検査になるのでリスクがあり、羊水検査による流産の確率が1/300あるという説明も受けました。
陽性か陰性か分かる。仮に陰性だったとしても、じゃあ確率がどの程度までなら産んで、どれくらいを超えたら・・・、なんて考えると答えはなかなか出せません。1/500なら産む?1/300なら諦める?羊水検査はどうする?確率が心配な値だったら受ける?でも、それで流産してしまうのも怖い。
勿論、その判断の助けとなって、将来のリスクを避けるための検査です。しかし、障害を持って生まれてきたとして、果たして自分たちはその子を育てていけるのか、その子は幸せなのか、リスクが高かったのになぜ生んだのか。様々なことが脳裏をよぎります。
でも、これを読んでいる新米パパたちに伝えたいのは、こういった事で悩んで、考える機会を持てたことはとても良い事だったということです。真剣にそういった想定をして、夫婦で意見を交わす時間って、この検査の提案が無かったらしなかったと思います。きっとそういうことも含めて、この検査は提案されるのかもしれないですね。
僕たちの結論
2人で出した結論は、クアトロテストはやろう。結果が陰性であっても、たとえ確率がやや高めでも赤ちゃんを産む。その結果、不運にも障害を持っていたとしても育てていこう。というものでした。そして、羊水検査は受けるつもりはない。
後日、クアトロテストを受け、結果を聞く日が来ました。
結果は以下の通りでした。
Screen Negative(※=陰性)
第2三半期でダウン症である確率は、約1/960です。
開放性二分脊椎がある確率は、約1/12000です。これに無脳症などの開放性神経管奇形を含めた全体の確率は、約1/6000です。
第2三半期で18トリソミーである確率は、この妊娠においては高くありません。
(一部抜粋)
ここまで書いたことは、僕たちが実際に体験したことの流れそのものであり、まだクアトロテストを知らない、あるいは病院で知らされて判断に悩んでいる新米パパたちの参考になればと思い書いたものです。クアトロテストの詳しいことや、実際にどうするかは、担当医、そしてもちろん奥さんとしっかり相談して決めて下さい。そもそもクアトロテストは、担当医のカウンセリング(説明)を受け、同意書への記入を済ませないと受けることは出来ません。
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