陣痛室の僕たちのスペースは、ベッドとベンチ。荷物を広げて、とりあえず寛ぎます。
前の記事でも書いたように、破水から始まり病院へ来たので、陣痛はまだです。現在、朝の8:00。この段階では「今夜にはもう生まれているだろうな」と思っていました。妻のお父さんと同じ誕生日になるなんて運命的。そんな話をしていました。
陣痛が始まらない
今夜には赤ちゃんに会えるのかぁ。なんて考えて、初めはすごくドキドキしていました。
しかし、待てど暮らせど、陣痛が来ない。
お昼が過ぎます。
「どう?お腹痛くなってきた?」
「うーん、どうかな。まだだと思う。」
そんな会話をしながら、だんだんと心配になってきました。このまま陣痛が来なかったら、誘発剤を使って、それでもダメなら帝王切開になってします。
ペアクラスで「妊婦さんのうちの約20%が帝王切開で出産する」と習っていたので、今時帝王切開なんて珍しいものでも何でもないし、左程心配はいらないのは分かっていたのですが、それでもやはり可能な限りそれは避けたい。自然分娩で生まれてほしい。その理由の一つは、帝王切開だと出産に夫は立ち会えなくなるというのもありました。
「我が子が生まれてくる瞬間に立ち会いたい」「出産時に妻が不安だろうから隣に寄り添いたい」という思いが僕には強くあったので、どうか陣痛よ来てくれっ!!と祈りました。
それにしても、20%くらいが帝王切開とは驚いたものです。同じ回のペアクラスを受けた夫婦のうち2組か3組くらいは帝王切開になるということです。想像以上に多いのだと知りました。
陣痛が来るように色々試す
時間も14:00くらいになると、助産師さんたちから「パパは一旦帰って休んでまた来ることにした方が良いですよ」、と2回くらい別々の人から促されたのを覚えています。でも、僕は断って、ずっといると言いました。正直、このタイミングで帰るとか、まだ陣痛が来てないとは言え、僕的にはあり得ない選択でした。それに、帰ってまた来る方が疲れます。
兎に角、ずっと付き添うと決めたので、ちょっとコンビニ行ったりして、食べ物とか調達。長期戦に備えました。
そして、このまま本当に陣痛が来ないと困るので、妻と陣痛を誘発するようなことを始めました。
スクワット。
それから、陣痛室を出て、院内の階段を上り下りしてみます。7階から下の方の階までを往復したり、色々と体を動かして、陣痛が来るように取り組みました。
それでも一向に陣痛がきません。時間も夕方を過ぎ、夜に。
やっぱり、破水が先だったから、まだ陣痛のタイミングじゃなかったのかな…。と心配が大きくなります。出産には立ち会いたい。産む妻の隣にいたい。
夜が来て、消灯を迎えた後、
「ちょっとお腹痛いかも…」
漸く、陣痛の始まりが訪れました。時間は、確か22:00くらい。既に入院から14時間が経過。
壮絶な時間の始まり
とは言っても、まだ「これが陣痛かも」くらいの感じで、お互いハッキリと確信はありません。
それでも、漸くそれらしいものが来始めて、安堵感がありました。
しかし、良かったと思ったのも束の間。このあと、壮絶な時間が始まるのです。
日付が変わった後くらいからでしょうか、段々と陣痛の痛みがハッキリしてきて、妻が苦しむようになりました。でも、まだ陣痛の間隔は全然安定しないし、長い間があります。
間もなく、20分間隔くらいになった頃、痛みが強くなってきました。時間は1:00か2:00くらいだったかな。陣痛が来ると、僕はベッドに乗って妻の後ろへ回り、肛門を拳で強く押し続けました。
これが、本当に力いっぱい押すので、かなり疲労します。陣痛が引くまでの時間、賞味1分くらいでしょうか、妻の肛門付近を押し続けました。
痛みが引くと、僕もハァハァとなり、脇のベンチへゴロン。時間も時間なのでクタクタです。朝も寝不足だった上、予定外に病院へ来たため、眠気もピークでした。
しかし、横になって10~20分もすればまた次の陣痛が来る。ウトウトしたと思ったら、起き上がってベッドへ登り、また妻の肛門付近を力いっぱい押します。
押し続け、痛みが引いてやっとベンチへ横になる。でも、10分20分でまた起きて…。
これ、ほんっっっとうにしんどかったです。あと、これをまだ何時間もやるのかと思うと、自信がなくなった。それくらい辛かった…。
【重要】陣痛時の妻への接し方
ここで、長時間の陣痛で戦い続けた『陣痛時の新米パパの HOW TO 立ち回り』を少し詳しく書きましょう。
これ、超重要です!ポイントは2点!
・肛門付近を拳でブッ壊れんじゃないかというくらい思いっきり押す
・質問をしない
この2点それぞれを補足すると、まず、拳で押すのは一定の強さで、力を一旦緩めて押し直したりせず、陣痛の始まりから終わりまで一定の強さで押し続ける。つまり、最初から最後まで、渾身のフルパワーをキープするわけです。これを、無限回と思えるくらい繰り返すのだから、マジで限界を感じられます。
なぜ力を緩めたりして強弱をつけちゃダメかというと、力を抜くと妻に一気に痛みが襲うからです。拳で押している間って、本当に楽になるらしいのです(何もしないのに比べれば)。楽になるだけに、陣痛の最中に拳で押すのを緩めると、一気に壮絶な痛みが襲ってくる。それがものすごい苦痛なので、必ずフルパワーを最初から最後まで弱まることなく維持しましょう。
もう、言わなくても分かってもらえると思いますが、ちょい押しや、ましてや摩るなんて、陣痛の前に無力です。
さて、もう1点の『質問をしない』ということについてですが、そもそも答える余裕なんてない、と。痛すぎて。なので、1番やってはいけない質問は「大丈夫?」とか「今どんな感じ?」です。
「大丈夫なわけねーーーだろ!!クッソ痛てーーんだよっ!!ボケガァァァ!!!」
と、大切な奥様のご機嫌を曲げること必至なので、この状況において、その質問は絶対NG。
何か聞く必要があるときは、Yes No で答えらる質問にしましょう。
例えば「水いる?」みたいな。
この2つのポイントだけ外さなければ、ナイス新米パパと言えると思います。
フラフラになった朝方、ついに分娩室へとステージが進む
ここまで書いてきたように、陣痛の波の前に、深夜の眠れない壮絶な戦いを夫婦で乗り切り、陣痛の間隔も段々と短くなってきました。
短くなればなるほど、前の陣痛が引いてから次の陣痛の始まりが短くなるので、ますます休んだり眠ったりできなくなって、途中からもうゾンビのようになっていたと思います。
それでも、朝の8:00過ぎくらいでしょうか、ついに陣痛室から分娩室へと移動しました。実に入院から24時間が経過していました。
(つづく)
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